先日、久しぶりに映画を観ました。
日々が忙しく過ぎていくなかで『え?今から?』という、自分の不意をつくようなタイミングで映画を観る。
忙しい中にもそういうリラックスする時間をねじ込むのは案外大事かなと思います。
とはいえ、極端にスリリングな展開がある作品は心がざわついたり、終わった後もその感情を引きずってしまう。
かと言って、愉快なコメディドラマな気分でもない。
『日日是好日』は、そんなときにオススメの映画です。今回はその感想文です。
感想:ばあちゃんに会いに行きたくなった。
黒木華さん・樹木希林さん・多部未華子さんが出演する作品で、2018年10月13日に公開された映画のようです。
時代設定は年齢から逆算すると1974年頃。
不器用な黒木華さん演じる典子と、その従姉妹で、愛嬌もあり竹を割ったような性格の多部未華子さん演じる美智子が、典子の母親の勧めで、近所に住む樹木希林さん演じる武田先生に茶道を習いはじめます。
大学生である2人は毎週土曜日に武田先生のもとに通うことになります。
それから典子は、美智子への劣等感、就職活動の挫折や失恋、家族の不幸など、苦難と言えば苦難ですが、人生においてありふれた障害にぶつかり凋落していきます。
でも、必ず土曜日には武田先生のもとへお茶を習いにいく。
秋雨と梅雨は雨音が違う、お湯と水では注ぐ時の音が違う。
典子はお茶を通して、そういう些細ではあるけれど、少し嬉しくなるような気付きを得ていきます。
『日日是好日』とは禅語であり、禅語とは仏教のひとつである禅宗という種類の宗教の僧侶が語った言葉のことだそうです。
『日日是好日』は、碧巌禄(へきがんろく)という中国の仏教書に載っている言葉のひとつなのだとか。
僕もそのへんはよくわからないけれど、ただ単に『毎日がいい日!』という意味ではないらしいです。
少し調べたけど、そもそも色々な解釈があるみたい。
辛い事があった日も、雨の音が違う事に気付けた。
新しい気付きや成長に、ほんの少し幸せなを感じられたこと、そうして今日の中に”ちょっとした良い事”を見つける。
禅は、そもそも昨日がどーだとか、明日はこうだろうとかを考えず、今を精一杯生きろっていう思想なのだとか。
映画の序盤で、樹木希林演じる武田先生が『茶道の作法にいちいち理由なんかない、頭で考えず形から入って、心は後から入ってくるから』という話をされるシーンがあります。
茶道には格式高いイメージのあるので『え?意味ないの?笑』ってなりました。
まぁそういう僕は高校の時、放課後が部活に取られるのが嫌で週1しかない茶道部に3年間入っていたのですが ←
個人的にはそこが1番印象的なシーンだったのですが、毎週繰り返し同じ作法でお茶を入れる中でも、些細な気付きがある。
それが映画の伝えたいメッセージなのかなぁと思いました。
後半の、海にいるお父さんに向かって雨の中『ありがとうございます!』って泣きながら叫ぶシーンだけはちょっと謎でしたが(演技力の無駄遣いな気がしました…)
適した表現かどうかはわかりませんが、ぼーっと観るのに適してる映画だと思います。
何感じない訳ではないけれど、大きく心を揺さぶられる訳でもない、典子の葛藤や気付きを通して何かを問いかけられているような感覚と言えばいいかしら。
同じか。←
おしまい
僕はAmazon Primeで観ましたが、現代は膨大な映画が見放題ですし、限られた時間をどの映画に費やすのかは意外と大事な選択だと思います。
ただ、忙しい毎日に少し疲れてるなら、この映画は自分を見つめ直す機会を与えてくれるかもしれません。
なんとなくばあちゃんに会いに行きたくなりました。